100分de名著の傑作回は内村鑑三「代表的日本人」の回

100分de名著 内村鑑三「代表的日本人」の回

地上波と言われるテレビ局で作られる番組の中で、特に優れた番組のひとつ「100分de名著」

その中でも神回・傑作と言われるのが、内村鑑三「代表的日本人」の回です。

代表的日本人が名著であるのはもちろんのこと、指南役(本を解説するゲスト)の若松英輔さんが凄いです。

内村鑑三や代表的日本人に対する造詣が深く、作品への愛が伝わってきますし、この本に込められている大切なメッセージを一人でも多くの人に伝えたい思いが溢れています。

若松英輔さんも「代表的日本人」に大きな影響を受けたんでしょう。

毎回深くお辞儀をするのも、その人格の高さが表れています。

素晴らしい曲と素晴らしいフロントマンがいれば他のミュージシャンやオーディエンスは巻き込まれていくしかない様に、素晴らしい本と素晴らしい批評家が揃えばグルーヴィな神回になることは避けては通れません。

伊集院光さんの「専門家ではないからこその視点・投げかけ」が若松さんの解説を一層深めてくれますし、司会の武内陶子さんも素晴らしい仕事をしています。

さて、そんな100分de名著の神回、内村鑑三「代表的日本人」の回でグッときたポイントをいくつか紹介したいと思います。

それは、内村鑑三自身の言葉だったり、代表的日本人として取り上げられる英雄の生き様だったり、あるいは指南役の若松英輔さんの言葉だったり…

色んなところに、神が宿る回です。

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内村鑑三について

内村鑑三

内村鑑三(うちむらかんぞう)は、1861年に下級武士の家に生まれ、1930年にこの世を去った思想家です。

内村鑑三は、神(日本人の宗教観を考慮しあえて天という表現が多い)やイエス・キリストが思想の中心でしたが無教会主義を貫きました。

宗教的であること(神のみ心を実践すること)と宗教に属することは切り離していたのでしょう。

「代表的日本人」の中にも、こんなフレーズがあります。

私は、宗教とはなにかをキリスト教の宣教師より学んだのではありませんでした。

内村鑑三の本質的な精神性が表れています。

この感覚、とても良く分かります。

神や天や創造主などと表現される「目に見えない大いなる何か」の真髄を知る上で、全ての人にとって宗教と言う窓口が必要な訳ではありません。

代表的日本人とは

代表的日本人とは、1894年に発行された海外向けの日本人論です。

原題は「Representative Men of Japan / Japan and the Japanese」で、全て英語で書かれています。

代表的日本人として、5人の人物(西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮)の生涯が内村鑑三によって紹介されています。

また、新渡戸稲造の「武士道」岡倉天心の「茶の本」と並んで、三大日本人論の一冊と言われています。

「武士道」が日本人の強さ「茶の本」が日本人の美しさなら、「代表的日本人」は日本人の精神性を伝えていると言えます。

この本は世界に向けて日本人の性質を伝える為のガイドブックとも言えますが、もっと人間の本質的な生き方を捉えた、普遍にして不変の全人類に向けた「幸福論」ではないかと思うのです。

この本で内村鑑三が「代表的日本人」を通して届けたいのは、「人間はどう生きるべきか」というメッセージではないでしょうか。

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グッときたポイント

西郷隆盛

内村は西郷隆盛をこう紹介しています。

内村によると、西郷はある時、天からの声を聞いたはずだと言います。

それでなければ、あれほどしきりに「天」という言葉を使うはずはないと。

無欲であること、控えめであること、また誰に対しても怒る事が無かったのも、全ての背景にある天を見ていたからだと思います。

「待つ」ということを大切にしたのも、そういった人生観があったのだと思います。

その上で、内村は西郷隆盛の言葉を紹介します。

機会には二種ある。
求めずに訪れる機会と我々の作る機会とである。
世間でふつうにいう機会は前者である。
しかし真の機会は、時勢に応じ理にかなって、我々の行動するときに訪れるものである。
大事なときには、機会は我々が作り出さなければならない。

「私」ではなく「我々」という表現にも、西郷の無私が表れています。

上杉鷹山と二宮尊徳

100分de名著では、上杉鷹山と二宮尊徳がセットで紹介されています。

上杉鷹山は米沢藩の再生、二宮尊徳は農村復興政策という大仕事をしました。

人はよく「ピンチはチャンス」と言いますが、この2人はピンチ(試練)をとても大切なものだと捉えていました。

上杉鷹山は10代で米沢藩の藩主になります。

困窮を極める藩の再生を進める上で、荒廃した大地に自ら鍬を持って耕す儀式を大切にしました。

これは、人間は自然から恵みを受け生かされ、自分もまたその一人に過ぎないという意思表明でもありました。

また、内村は鷹山の章で「東洋思想の経済と道徳を分けない美点」にも言及しています。

富は常に徳の結果であり、

民を愛し、与えないのに、自分が愛され、与えられる事はないと考えました。

人材育成の面でも、有徳な人材に育てることに重きを置きました。

さらに、藩、つまり民は、自分の為にあるのではなく、天から託されたものであると考えました。

天から託されたものを責任を持って、役に立たない人、生産力の無い人も排除しようとはしませんでした。

一方、二宮尊徳は、上杉鷹山とは違い、普通の家に生まれ改革者になった叩き上げの人です。

尊徳からは、人間の可能性を学ぶ事ができます。

尊徳は幼少期のとき、天災により家と田畑を失います。

そこから勤勉と労働、倹約に励み、田畑の再興と家を建て直します。

その手腕を見込まれ、農村復興の公務を授かります。

その際「自分の家を投げ出してはじめて、千軒の家を救う事ができる」という覚悟を決め、家を捨てます。

この行動に関する若松英輔さんの解説が印象的でした。

普通の人間は自分が一番だが、尊徳は民を一番にしました。

これは自分を犠牲にする一方で、これこそ天命を得ることであり、本当の自分を得ることと言えます。

鷹山も尊徳も、自分を犠牲にしてまで民のために生きることで、本当の自分を生きたのです。

代表的日本人を読む上でのポイント

代表的日本人を読む上でのポイントを、番組内で若松英輔さんが挙げてくれています。

1.偉人伝として読まない

内村は、英雄とも言える5人を普通の人とかけ離れた存在として描いていません。

我々と何一つ変わらないが、自分の役割を深く認識し、人生をかけて役割に徹したという点で特別なのです。

2.意中の「ひとり」を探せ

5人全員を等しく読むよりは、自分が気になった人物に注目する読み方が良いそうです。

3.ライフステージが変わるたびに読む

「代表的日本人」は高校生にとっても老人にとっても有意義な本で、また読む者の変化によって受け取れるメッセージが変わってきます。

NHKオンデマンドで視聴

100分de名著 内村鑑三「代表的日本人」の回はNHKオンデマンドで視聴できます。

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