良い映画とは何でしょうか。
「映像のクオリティが高い」とか「ストーリーやオチが凄い」とか「役者が魅力的」とか、受け手の好みによって色んな基準があると思います。
私にとって良い映画とは「人間が描かれている」ことです。
そんな映画ばかりを好んでで観ています。
きっと、そう言う映画を通して「問いを投げかけられる」「他人の人生を少しだけ生きた様な気になる」ことに価値を感じるんだと思います。
そんな「人間が描かれている」良い映画の中には、幼少期や青年期のトラウマが人生に影響を及ぼす事が分かる映画が少なからずあります。
そんな映画を観ると「あ〜、面白かった」では終わりません。
鑑賞後も、映画の中では描ききれない彼らの終わりなき日常を想像せずにはいられません。
濃厚に人間が描かれているからこそ、魂を揺さぶられます。
そんな、幼少期や青年期のトラウマが一生に影響する事が分かる映画を紹介します。
※これ以降は、映画のネタバレを含む解説があります。
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ハイヒールの男
出演:チャ・スンウォン
公開:2014年
主人公の屈強な男は、恐ろしいヤクザの集団にも顔色一つ変えずに向かっていくほど優秀すぎる刑事です。
同僚にも慕われるそんな彼には性同一性障害という秘密がありました。
さらに、若い頃の衝撃的な出来事がトラウマとなり、社会的に成功しながらも生きづらさから抜け出せていません。
そんな男の内面を見事に演じきったチャ・スンウォンの表情にも注目です。
光のほうへ
監督:トマス・ヴィンターベア
出演:ヤコブ・セダーグレン
公開:2010年
アルコール依存症の母親(片親)に育児放棄や虐待を受けて育った兄弟が大人になった話。
そんな幼少期のトラウマの影響か、兄は暴力や酒に溺れ、弟もまた薬物に溺れていきます。
それでも愛に飢え、愛を求める兄弟を描いた映画です。
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Into the Wild
監督:ショーン・ペン
出演:エミール・ハーシュ
公開:2007年
学業優秀で裕福な家庭に育った青年が、大学卒業後に全てを捨てて旅に出る実話をもとにした映画です。
映画の冒頭、何の不自由もない恵まれた生活を送るはずの彼が「両親への不信」や「物質至上主義への怒り」を露わにします。
その理由が後で分かるのですが、それはひょんな事から知った自分の出自でした。
その時の激しい動揺がトラウマとなって影響したのか、彼は突き抜けた現実逃避の旅に出ます。
映像、音楽、役者、ストーリーの見せ方(時系列の配置)など、全て素晴らしい映画です。
悪人
監督:李相日
出演:妻夫木聡 / 深津絵里
公開:2010年
鬱屈した日々を過ごす主人公の祐一は、ある事がきっかけで人を殺してしまいます。
そんな彼は幼少期に母親に捨てられるというトラウマを抱えていました。
祐一は確かに「罪」を犯した、しかし本当に彼だけが「悪」なのか…
そんな問いを投げかけられる映画です。
SHAME
出演:マイケル・ファスベンダー / キャリー・マリガン
公開:2011年
セックス依存症の兄と恋愛依存症の妹を描いた映画です。
幼少期のトラウマに関してはほとんど描かれていませんが、妹が兄に語る「私たちは悪い人間じゃない、悪い場所にいただけ」というフレーズがその影響を連想させます。
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