※核心に迫るほどのネタバレはしていません。
「怒り」の概要
映画「怒り」とは、2016年に公開された日本の映画です。
監督・脚本は李相日、原作は吉田修一。
この2人のタッグは、2010年に公開され各方面から高い評価を得、セールス的にも成功した映画「悪人」と同じという点でも注目を集めました。
また、渡辺謙 / 妻夫木聡 / 宮崎あおい / 綾野剛 / 森山未來 / 広瀬すず / 松山ケンイチ / ピエール瀧 / 池脇千鶴などの超豪華なキャスティングも、世間から大きな関心を集めました。
さらに、音楽は坂本龍一です。
後述しますが、坂本龍一の音楽が映画の完成度を高め、表現を豊かにしています。
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「怒り」のあらすじ
八王子郊外で若い夫婦が自宅で惨殺され犯人が逃走するシーンから映画は始まります。
1年後、房総(千葉)・東京・沖縄に身元不明の3人の男がそれぞれ現れ、次第に周囲に受け入れられ、それなりの人間関係が作られていきます。
ある日、警察が八王子事件の犯人の整形手術後のモンタージュ写真をテレビ番組で公表したのをきっかけに、それぞれの人間関係が揺らぎはじめます。
「怒り」の世間の評価
怒りが公開された2016年と言えば、近年稀にみる日本映画の豊作の年でした。
「この世界の片隅に」「シン・ゴジラ」「君の名は」「淵に立つ」「永い言い訳」「クリーピー」「リップヴァンウィンクルの花嫁」などの傑作が並ぶ中で多くの映画賞を受賞しました。
- 日本アカデミー賞 / 最優秀助演男優賞を含む合計で13の受賞
- キネマ旬報ベストテン / 日本映画10位
- 山路ふみ子映画賞 / 映画賞・女優賞
- 報知映画賞 / 監督賞・助演男優賞
- 日刊スポーツ映画大賞 / 助演男優賞・助演女優賞
- 東京スポーツ映画大賞 / 助演男優賞
「怒り」の感想
俳優の演技、音楽、サスペンス映画としての巧妙なストーリー、強いメッセージ性。
色んな面で実にクオリティの高い映画です。
ただ豪華なキャスティングをしただけでなく、ひとりひとりがその登場人物を見事に演じきっていました。
また、サスペンス映画としても優れていて、私は犯人が明らかになるまで全く分かりませんでした。
そして、この映画が投げかける重要なメッセージ、それは「人間が人間を信じることの大切さと難しさ」だと思います。
この映画は人間の信じる心と疑う心の葛藤が巧みに描かれています。
それぞれのシーンに坂本龍一のエモーショナルな音楽がはまり、強く感情を揺さぶられ、何度も泣いてしまいました。
勇気を出して信じてみようとする人間、弱さ故に疑ってしまう人間、疑ってしまったが故に愛を失い崩れ落ちる人間…
現代の日本には「絶望したくないから希望を持たない」という風潮が強まっている様に思います。
傷つかない為には、はじめから信じなければいいのですから。
しかし、それが本当に人間らしい生き方なのでしょうか。
私もいつしか、傷つかない様に「信じない」という武装してしまっていると思います。
私は「怒り」から、そんな大切なメッセージを受け取りました。
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