「ゆれる」の概要
「ゆれる」とは、2006年に公開された日本映画です。
西川美和が監督・脚本・原案まで務めました。
キャストは、オダギリジョー・香川照之・真木よう子などです。
公開後、世間から高い評価を得、多くの映画賞を受賞しました。
- 日本アカデミー賞 / 優秀主演男優賞・優秀助演男優賞・読売文学賞・戯曲シナリオ賞
- キネマ旬報ベスト・テン / 日本映画第2位・助演男優賞・脚本賞
- ブルーリボン賞 / 監督賞・助演男優賞
- 山路ふみ子映画賞 / 新人女優賞
- 報知映画賞 / 最優秀助演男優賞
- インビテーション・アワード / 映画賞
- クリエイター・オブ・ザ・イヤー
- ヨコハマ映画祭 / 作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞
- 朝日ベストテン映画祭 / 日本映画1位
- 毎日映画コンクール / 日本映画大賞・録音賞
- 東京スポーツ映画大賞 / 作品賞・監督賞・助演男優賞・新人賞
- おおさかシネマフェスティバル賞 / 日本映画1位
- 高崎映画祭 / 最優秀監督賞・優秀主演男優賞
Sponsored Link
「ゆれる」のあらすじ
故郷を離れ、東京で写真家として活躍する弟の猛(オダギリジョー)。
田舎で実家のガソリンスタンドを切り盛りする兄の稔(香川照之)。
そのガソリンスタンドで働く弟の昔の恋人の智恵子(真木よう子)。
3人で渓谷へ遊びに行くが、智恵子が吊り橋から落下して命を落としてしまいます。
そして、その時、近くにいたのは稔だけでした。
事故だったのか、事件なのか…
裁判が進むにつれて兄をかばう猛の心はゆれる中、最後には証言台に立ちます。
「ゆれる」の感想
ゆれるの一番の見どころは、ズバリ香川照之の演技だと思います。
上述した様に、権威ある日本アカデミー賞や、信頼できる数少ない映画賞であるキネマ旬報ベストテンでも助演男優の賞を獲得しています。
香川照之は主人公の兄である稔の役で、親にも反発せず、地元にも馴染み、レールに乗った人生を歩んでいる、いわゆる普通の立派な人です。
そんな普通の人間である稔ですが、話が進むにつれて少しずつ壊れていきます。
圧巻なのが、刑務所に訪れた主人公・猛との面会シーンですね。
本当は自分を押し殺して生きてきたことや、都会で自分らしく生きている弟への劣等感が溢れ出し、激情をさらけ出すシーンです。
香川照之だけにずっと注目していられる映画と言っても過言ではありません。
兄弟愛
ゆれるでは、複雑だけど強い兄弟愛が描かれています。
私にも兄がおりますが、まるで猛と稔の様に対極の性格・生き方をしています。
弟の猛は、明らかに親や地元への嫌悪感を持っています。
兄の稔は、周囲と調和しながらも、劣等感や不全感を抱いています。
でも、根っこの部分では、お互いに好いているのが伝わってきます。
この感じ、凄く共感できるんです。
私も兄とは連絡なんかほとんどしないし、会っても深い話なんてしないのに、いつだって強い繋がりを感じているですよね。
生き方や生存戦略は違えど、兄弟って同じ環境で育った戦友なんです。
いつだって自分にとって鏡でもあるんです。
猛の生き方にも、稔の生き方にも、それぞれに良いところと悪いところがあって、手にしたものと失ったものがあるんです。
兄弟って同じ環境で生まれ育っているのに、全然違う人生を選択するんですよね。
とっても不思議です。
そして、映画のエンディング。
裁判沙汰で疲弊していた猛は、まだ2人が幼かった時のビデオを見ながら号泣します。
もちろん私も号泣です。
俳優たちの芝居はもちろんのこと、人間描写の豊かさ、シナリオのクオリティも高い素晴らしい映画です。
Sponsored Link