私は現在サラリーマンとして生きていますが、30歳手前までミュージシャンになる夢を追っていました。
夢を諦めるまでは社会人経験はなく、アルバイトをしながら音楽活動を続けていました。
そんな私が考える「夢を諦める、諦めない」について書きたいと思います。
夢を諦めるまでの経緯
私は地方からアテも無く(少し知り合いがいた程度)ミュージシャンを目指して上京しました。
自分から何かしなければ何も始まらない状況ですから、メンバー募集サイトを見て、色んなバンドに加入したい旨の連絡をすることから始めました。
それから複数のバンドで活動をしたり、音楽仲間が増えたり、色んな音楽に触れる中で、ある事に気づきました。
自分より遥かに上手くて、才能があって、音楽に対する姿勢も凄まじいのに、報われてないミュージシャンがごまんといる事に。
「音楽を辞めるくらいなら死んだ方がまし」という覚悟を持った人だっていっぱいいます。
「どれだけ厳しい世界なんだ…」
音楽で食べていくという自分の中の物差しがボキっと折れる感覚でした。
私はそれなりにキャリアだけが積み重なっていく中で、背中を押してくれていた夢が、いつしか重荷になっていました。
辛酸舐める日々の逆境 夢が重荷になってりゃ世話ねぇ
amazarashiの「逃避行」の歌詞がとても身にしみました。
売れないミュージシャンは、活動を頑張れば頑張るほど出費がかさむ。
お金が無いから、時間さえあればバイトをする。
お金も時間もカツカツな中で、自分を慰めるのは夢だけ。
でも、その夢の実現にも着実に向かっている実感は無い。
自分よりも凄い人たちでさえ夢を掴めてない現実。
そんな状況で私は夢を諦めました。
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夢を諦めてから
夢を諦め、バイトとして雇ってもらっていた会社で社員にしてもらいました。
自由に使える時間やお金は増え、何より今までよりも音楽が好きになりました。
今までは、良い音楽に出会うと嫉妬したり焦ったりしていました。
雲の上のスーパースターでさえ、おこがましくもライバル視していたんですね。
しかし夢を諦めてからは、純粋に受け手として作品に触れられるようになりました。
また、夢を諦めたとは言え、音楽仲間とは変わらず付き合っていて、手伝いやら何やらで音楽活動は継続しています。
それが今までと違って心から楽しいのです。
諦めるor諦めないの白か黒って時代でもない
特にミュージシャンやクリエイター系に言えることですが、現代はプロかアマかって二元論の時代ではないです。
ひと昔前までは、業界の大手企業と契約すればメジャー(プロ)、それ以外はインディーズ(アマ)でしたが、今では自分で拡散して、自分でマネタイズさせることができます。
専業ミュージシャンを目指さなくても、兼業や副業でミュージシャンができる時代なのです。
「夢だけで食べていく」ということに頑なになる必要がないのです。
「働きながら音楽活動を続ける」という勉強会やトークイベントなどを開いているコミュニティもあります。
実際に、全国的に知られているミュージシャンでも、生活の為の仕事を持っている人もたくさんいます。
また、2018年は副業元年と言われる様に、日本人の働き方そのものが大きく変わろうとしています。
夢の形は色々あると思いますが「諦めるor諦めない」の白黒ではなく、「夢を人生の中心からは外すけど、諦めはしない」の様なグレーだってありなのです。
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使命や天命は主観的なものではない
夢を諦められない人から「使命だと思ってる」という言葉を聞く事があります。
自分が続けたいから続けるというのとは別の動機として、天から与えられたミッションだと思っているらしいのです。
でも使命って、きっと客観的なものなんじゃないかと思います。
NHNの対談番組「SWITCHインタビュー」で松本明慶がこんなことを言っていました。
努力したら天命は来る。
天命というのは自分が感じるものではなく、周りから聞こえてきます。
自分が「これが天職」と言ったって、周りが下手糞と思ってたら、それは天職じゃない。
天職というのは、周りが認めること。
夢は主観的なものだとしても、使命とか天職って客観的な要素の方が大きいのではないでしょうか。
ある程度の所まで頑張っても、周囲から認められたり必要とされなければ、それは使命ではないのかも知れません。
「諦める」も「諦めない」も良し
「諦めたらそこで試合終了」
スラムダンクに出てくる安西先生の有名な名言ですが、おっしゃる通りです。
諦めたその時点で、1パーセントでもあった可能がゼロになります。
死ぬまで諦めないのも良いでしょう。
ただ、夢が前向きに生きる力になっていればいいですが、もし重荷や逃げ場所になっている様なら考えた方がいいのかも知れません。
泳ぐことしかできない魚が、空を飛ぶ事を夢見てしまっている場合もあります。
諦めるという言葉
我々現代日本人が「諦める」という言葉を使うとき、どこか「逃げる」「負ける」と言ったニュアンスがありますよね。
しかし、本来は「明らかにする」「詳らか(つまびらか)にする」という意味なのです。
つまり、夢を諦めるという事は「夢から逃げた」ではなく「夢をどうするかハッキリさせた」という事になるのです。
何かを捨てたとき、そこに新しい何かが入ってくるかも知れません。
諦めるとき「夢に対して向き合った自分に納得しているかどうか」が大事なのだと思います。
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