ナポレオン・ヒル「悪魔を出し抜け!」の概要と書評

悪魔を出し抜け1

悪魔を出し抜け!の概要

悪魔を出し抜け!は、2013年に出版された書籍なのですが、なんと書き上げられたのは1938年。

執筆から70年以上経ってから世に出た本で、ナポレオン・ヒルの幻の書と言われています。

なぜ70年以上も封印されていたのか?

それは、その内容があまりにも世界の本質を悪魔サイドから言い得ており、それ故に既成の教育制度や宗教を痛烈に批判するしかなかったからです。

正しい事を正しい場所で意見する者、ガンディーやキング牧師、あるいはキリストやマタイがそうであった様に、ナポレオン・ヒルもまた命を奪われたかも知れない。

そう思った親族がこの本の出版を封印していたのでしょう。

ナポレオン・ヒルと言えば「思考は現実化する」で有名ですが、「思考は現実化する」が人間の理想的な生き方なら「悪魔を出し抜け!」は、なぜ多くの人間が理想的な生き方ができないかが書いてあります。

そしてなんと、悪魔を出し抜け!の原稿が書き上げられたのは「思考は現実化する」が出版された翌年でした。

この2冊はセットで読まれるべきだったのです。

アンドリュー・カーネギーに触発されたナポレオン・ヒルは膨大な数の成功者と失敗者のリサーチを行い、自身の体験からも掴んだ真実を悪魔と通じ直接問うています。

アメリカの宗教観もあってか「悪魔」と言う表現を使っていますが、全くオカルティックな内容ではありません。

人間、ひいては宇宙の本質・法則が明らかにされています。

一般的にこの著作は成功哲学に分類されると思いますが、成功哲学と聞いて毛嫌いしないでほしいです。(私が最初はそうだった)

物理的な富や地位や名誉、ステレオタイプの幸福と言った意味の成功ではなく、自分が自分の人生の主人となり、自分の望む様に生きるという意味の本質的な成功哲学です。

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あらすじ

タイトルの通り、悪魔とその正体、そして悪魔を出し抜く方法が書かれています。

12章で構成されていますが、本編のほとんどが悪魔との対話が綴られています。

1章ではアンドリュー・カーネギーとの出会いや執筆までの経緯、紆余曲折や覚悟。

2章では「もう一人の自分」の偉大さについて詳しく書かれています。

3章から最終章の12章までは、ひたすら悪魔との対話です。

悪魔を出し抜け2

宇宙の法則など壮大な内容から、タバコや酒がなぜ悪習慣とされるのかと言った我々の圧倒的な日常まで、悪魔が具体的に告白しています。

また、所々で、金持ち父さんシリーズの共著者として知られるシャロン・レクターによる注釈があるのも、現代人の視点で読む上で大きな助けとなってくれます。

悪魔を出し抜け!を読む上でのキーワード

悪魔を出し抜け!の中で数え切れないほど登場する重要なキーワードがふたつあります。

それは「流される人間」と「ヒプノティック・リズム」です。

流される人間

自分の頭でほとんど 、あるいはまったく考えない人間の事です。

まわりの状況に影響を受けコントロ ールされても それに抵抗せず、自分で考えるのが面倒で 、むしろ悪魔が自分の意識を支配し 、自分の代わりに考えることを歓迎します。

人生に何が起ころうとそれに甘んじ 、反抗したり反撃したりすることもなければ、人生に何を望めばいいのかもわからず 、ただぼんやり日々を過ごすだけ 。

あれこれ意見は言うが 、どれも自分で考えたものではなく、ほとんどは悪魔が吹き込んだものです。

精神的な怠け者で 、頭を使うことをほとんどせず、だからこそ 、悪魔に思考をコントロ ールされ 、その意識に悪魔の考えが植え付けられています。

ヒプノティック・リズム

悪魔を出し抜け3

エネルギ ーには普遍的な形というものがあり、自然はそれを使ってあらゆる物質とエネルギ ーを完璧なバランスのもとに保っています。

その普遍的な形をしたエネルギ ーは 、特別な目的のために 、いくつかの異なる波長に分解されます。

その分解の際に使われるのが人間の習慣です。

あらゆる思考のひらめきは 、習慣を通して何度も意識の中で繰り返されることにより一定のリズムを作り出します。

リズムとは習慣の最終段階なのです。

どんな思考も 、どんな体の動きも 、何度も何度も繰り返されるうちに 、習慣の原理によって 、最後はあるリズムを形成します。

例えるなら、水の流れによってできる渦の様なものです。

渦の中心がリズム、渦に影響されてできる周囲の流れが習慣と言った具合でしょう。

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一部紹介

特にグッときた箇所をいくつか紹介します。

ヒル:裕福になれるのは一握りの人だけで 、大半の人は貧しいままなのですね ?

悪魔:その通りだ。貧困は体の病気と同じように伝染する病なのだ。
貧困は 「流される 」人間の中には常に見つけることができるが 、自分の欲するものを知っていて 、それを獲得することを決意している人間の中には決して見つからない。

4章「流される習慣」より

悪魔:失敗した人間は 、モラルを失い 、自信を砕かれ 、熱意は弱まり 、想像力は衰え 、そして明確な目標を見失う。こういった資質のない人間は何をやっても永久に成功することはない。
かのト ーマス ・エジソンより脳力的に優れた発明家はこれまで何千人もいたことだろう。
しかし 、一人も世に知られることなく終わった。
一方 、エジソンの名はこれからも永久に残るだろう。
その理由は 、失敗を結果が出せなかったことの言い訳にした人たちと違って 、エジソンは失敗を成功への足掛かりとしたからだ。

5章「最も重要な告白」より

悪魔:結婚するときに適切な動機を持っているかどうかにかかっている。
幸福に結びつかない結婚が多いのは 、ヒプノティック ・リズムの法則を理解せず 、また理解しようともしない夫婦が多いからだ。
二人が交わすすべての言葉 、すべての行為 、そして互いに対して抱くあらゆる感情は 、ヒプノティック ・リズムの手により網の目のように組み合わされていく。
あとは 、その網の目に巻き込まれて不幸な罵り合いを繰り返すか 、その網を自由の翼に変えて 、あらゆる不幸を飛び越えていくかのどちらかとなる。

11章「成功は、常に過去に経験した失敗の数に比例している」より

カテゴリ - 書評

2018/04/23

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